立て続けに起こる情報漏洩の謎

社員行動調査をお問合せした経緯
今回ご相談いただいたのは、IT関連の中小企業を経営されているお客様からです。
数ヶ月前から、競合他社にしか知り得ないはずの機密情報が漏洩している疑いがあり、重要な取引先との契約を立て続けに失う事態が発生しました。社内の情報セキュリティ体制は万全にしているつもりでしたが、外部からの侵入形跡は見られませんでした。
経営者であるご依頼者様は、内部犯行、特に社内の人間による情報漏洩や不正行為を疑い始めました。特に、最近になって急に羽振りが良くなった中堅の営業社員Aに不審の目が向きました。
Aは機密情報にアクセスできる立場にあり、また、最近になって「体調不良」を理由に頻繁に遅刻や早退を繰り返すようになっていたのです。
このままでは会社の存続に関わる重大な危機であると判断し、社内の人間関係を壊すことなく、静かに、そして決定的な証拠を掴むため、弊社の社員行動調査にご依頼いただきました。
調査依頼者の情報
依頼者 | 年齢 | 職業 |
女性 | 40代 | 会社員 |
対象者 | 年齢 | 職業 |
男性 | 40代 | 教務員 |
依頼者ヒアリング内容
依頼目的 | ・社員Aの行動確認 |
調査期間 | ・5日間 |
調査方法 | ・尾行、張り込み |
調査概要
調査事前準備
ご依頼者様からの詳細なヒアリングに基づき、対象社員Aの行動パターンと、情報漏洩の可能性が最も高い日時を特定しました。調査の目的は、単なる行動確認ではなく、「不正の事実」と「その証拠」を掴むことに絞り込みました。
Aの通常勤務時間、不審な遅刻・早退の時間帯、そして競合他社との接点に関する可能性のある情報を詳しく伺いました。調査は、社員Aの通勤ルート、勤務時間中の行動、そして退勤後の立ち寄り先を中心に、高度な秘匿性をもって実施することを計画しました。ご依頼者様には、調査によって得られた証拠を、今後の法的手続きや懲戒処分に活用できるよう、法的に有効な形で収集することを約束いたしました。
調査開始
調査スケジュール
1日目 08:00 |
対象社員Aの自宅前から本日の調査を開始する。 ※以降、対象と記す。 |
08:30 |
対象が同宅を出て、出勤する様子を確認する。 |
09:00 |
対象が勤務先に到着し、勤務先ビルに入る。 |
12:00 |
これまで、状況に変化は見られない。 |
15:00 |
依頼者から、対象が体調不良にて早退する。との連絡を受け、対象捕獲に務める。 対象は、同勤務先ビルを出て、徒歩にて移動する。 |
15:45 |
対象はカフェに入ると、競合他社関係者と見られる男性Aと合流する。 対象と男性Aは真剣に会話をしている様子である。 |
17:00 |
対象と男性Aは同カフェを出ると離別する。 その後、対象は自宅方面に移動する。 |
2日目 10:00 |
対象自宅から本日の調査を開始する。 対象は同宅を出て移動する。 |
10:30 |
対象は、先日と同じカフェに入店し、男性Aと合流する。 また、同卓にはもう1人男性がいることを確認する。※以降この男性を男性Bと記す。 |
11:00 |
対象はカバンからUSBメモリーのようなデータ媒体を、男性達に私ている様子を確認する。 |
12:30 |
対象と男性A、Bは同カフェを出ると離別する。 対象は徒歩にて移動する。 |
13:00 |
対象は、付近の郵便ポストに封筒を投入しているところを確認する。 その後、自宅方面に移動する。 |
14:00 |
対象は、自宅に到着する。 同刻、依頼者との申し合わせにより、調査を解除する。 |
調査報告
数日間にわたる調査の結果、対象社員Aによる重大な不正行為、および情報漏洩の事実が動かぬ証拠をもって明らかになりました。
社員Aは「体調不良」を口実に早退した際、以前から接触していた競合他社の社員とカフェで密会していたことが判明。さらに、社員Aが自社の機密情報を含むデータを入れたUSBメモリのようなものを競合他社の社員に手渡す決定的な瞬間を、写真と動画で記録することに成功しました。
また、社員Aが頻繁に立ち寄っていた場所が、競合他社の社員が利用するカフェやバーであったことも確認され、計画的な情報漏洩が行われていたことが立証されました。
調査報告書には、日時、場所、接触した人物、そして情報授受の決定的瞬間が詳細にまとめられ、法的に有効な証拠として提出されました。
アフターサポート
調査報告書をご依頼者様にお渡しした際、ご依頼者様は怒りとともに、「やはりそうだったか」という確信を得た表情をされていました。
ご依頼者様はすぐにでも社員Aを追及したいという気持ちを抑え、まずは法的な手続きに進むことを決断されました。
弊社は、ご依頼者様に対し、収集した証拠の取り扱い方法、および今後の懲戒処分や損害賠償請求を進めるための具体的な流れをご説明しました。そして、企業法務と不正競争防止法に強い専門の弁護士をご紹介いたしました。
弁護士を交えた話し合いの中で、ご依頼者様は、社員Aに対する懲戒解雇の手続き、そして競合他社に対する損害賠償請求に向けた戦略を冷静に立てることができました。
ご依頼者様からは、「社内調査では絶対に得られなかった決定的な証拠のおかげで、迅速に対応できる」と、深い感謝の言葉をいただきました。
社員による情報漏洩や不正行為は、企業の存続を脅かす重大な問題です。社内で疑念がくすぶっている状態では、正常な業務運営が困難になります。
社員行動調査は、企業の疑念を事実に基づいた証拠に変え、迅速かつ適切な法的対応を取るための基盤となります。
もし、社内での不正の兆候を感じたら、感情論ではなく、専門家の力を借りて真実を明らかにすることが、企業を守る最良の策です。お困りの際は、私たちにご相談ください。